古式捕鯨の道具
捕鯨には様々な道具が使われました。
岬の高台でクジラを探す山見は、望遠鏡を使っていました。クジラの噴気(潮吹き)を見つけると狼煙があがります。山見と舟は、たくさんの種類がある旗やほら貝なども使ってコミュニケーションをとりました。
クジラを突く銛にも様々な大きさの違いがあり、遠くまで飛んでクジラの体に刺さりやすい小さい銛から大きな銛へと銛を投げる順番も決まっていました。
古式捕鯨に使われた道具の数々をみてみましょう。
通信旗
海上で指示を出したり、山見が鯨種や鯨の方向、海の状況などを舟に知らせるための旗や采
網采

勢子采

鯨舟印

注進印

座頭鯨の印

背美鯨の印

ほら貝
山見からクジラをみつけた時に吹いて知らせるもの

ささやき筒
近くの舟への通信に使ったメガホン

様々な銛や刃物
早銛
最初に投げる銛

手形銛
大銛で各舟から打ち込む銛

碇銛
銛網の末端に碇と樽を結び、クジラの進行を止める銛

萬銛
銛の中で一番大きな投げ銛

長柄
捕らえたクジラを解体する際に使用する。大包丁ともいう。

剣
捕鯨において、動きの鈍ったクジラにとどめを刺すために打ち込む刃物。

鼻切り包丁または手形包丁
噴気孔(鼻の穴)に穴を開けて綱をとおす「鼻切り」とよばれる作業に使う包丁。

近代捕鯨の道具
捕鯨には様々な道具が使われました。
近代捕鯨に使われた道具の数々をみてみましょう。
燕銛
明治時代に使用されたものといわれている。アメリカ式の回転銛と同じつくりだが、小さく薄い。

ボームランス(ダーティングガン・ハプーン)
アメリカ製。クジラに突き刺す銛に加えて、爆発銛を発射する銃装置ダーティングガンを装着している。銛がクジラの体に当たるとダーティングガンから伸びた金属の棒が押し込められ、爆発銛が発射される。爆発銛はクジラの体の中で破裂し、致命傷を与える。

日本製のショルダーガン
アメリカで最も普及したショルダーガンのひとつ、C.C.Brand No.2を鉄砲鍛冶の国友卯十郎典吉が複製したものであることが銃身の薬室部裏面の刻印からわかる。


90㎜捕鯨砲
ノルウェー製。2009年にくじらの博物館に寄贈されるまでは潮岬観光タワーに展示されていた。砲身に(1936.No.240.TN15)という刻印がある。

前田式三連捕鯨銃
前田兼蔵によって考案された、三連の銃身から一度に3本の銛が発射される捕鯨銃。

前田式牛頭鯨五連銃
絵葉書のイメージと同じ写真がかつて遺族のもとにあり、その裏が貴に大正8年(1919)9月21日に撮影されたことが記されている。
